兼業農家をやることになってしまって

ウェブの情報だけでもでなんとかなりました

プラウによる水田の耕起

水田は秋に耕起して稲わらをすき込みます。
やり方はロータリー耕とプラウ耕の2種類あります。
ロータリー耕が多いと思いますが、我が家が作業をお願いしている所はプラウ耕を選択しています。
下の写真がプラウで耕起した水田です。
プラウと呼ばれる鋤で、稲わらのすき込みと同時に上方の土と下方の土を入れ替えます。
手前の方は畔塗り作業がしやすいように耕起してありません。
秋耕起といっても暑いうちに耕起してしまうので、すぐに草が生えてきます。

プラウ

メリットとしては、下の方に沈んでいる養分を上に持ち上げる効果があるそうです。

はでぎ小屋を片付けた時の話

かなり前ですが、はでぎ小屋を片付けました。

「はでぎ」というのは刈り取った稲を天日干しする「はで」を組み上げるための木の棒です。
長さは長い物で10mくらいでしょうか。
棒といっても適当な木を切って皮をはいだだけですが、稲をかけて干しておくのですから、それなりの太さや強度があります。
稲刈りの後に組み立てて、脱穀が終われば分解して「はでぎ小屋」に収納しておきます。
今はコンバインと乾燥機を使うので、この数十年使っていませんでした。
天日干しをした米は買取価格が少し高くなりますが、「はで」に関する一連の作業は重労働で危険です。
時間と人数が集まらないと無理でしょう。

我が家のはでぎ小屋は痛みが激しくなっていて、トタン屋根も吹き飛びそうな状態でした。
近くに家が建っていたり、車がとまったりしているので、台風とかで吹き飛んで事故が発生したら大変です。
自分で少しづつ分解して片づけた人もいますが、私は業者に依頼しました。
解体、切断して小型トラックに積み込んで処理場に運ぶのですが、職人さんが手作業で解体して2日がかりでした。
自分で作業すればコストは抑えられますが、とんでもない時間がかかります。

コンクリートの沓石(くついし)は敷地の隅に寄せておいてもらいました。
コンクリートの塊は産廃処理場も引き取りませんから、放置しておくしかありません。
建築物は廃棄の方が大変です。

餅つきをやめました

今年から家で餅をつくのをやめました。

年末の忙しい時に大変時間のかかる餅つきは、もうできません。
今では鏡餅も大小さまざまなサイズを売っています。
しかも真空パックされてるので衛生的で、硬くなりにくいので後で切る時も楽です。
結構いい値段がしますが、半日以上をついやしていた仕事をしなくてよくなります。
実家にあたる我が家は親戚が集まるので、盆や正月もゆっくり休めません。
削減できる手間は極力省きたいところです。

大企業は10連休とかいう話を聞きますが、私の場合はカレンダー通りなので5連休です。
5連休といっても、前述の親戚来訪や餅つき、お寺へのあいさつなど、疲れる事ばかりで、
「盆や正月なんてなくなればいいのに...」とかよく思っています。

終農に向けて動いています

ここ数年は終農に向けて動いています。
農作業を外部委託にしたのもその一環です。
今後は作業委託希望者が増えると思われ、早めに委託先を確保しておきました。
耕作放棄地をよく見るようになりましたが、あの状態になっては大変です。
委託先が廃業する可能性もありますが、何の手当もなく急にという事はないでしょう。

農業法人化の話がかなり昔にありましたが、まとまりませんでした。
その頃は定年が60歳だったので、定年後の仕事にとっておきたかったのかもしれません。
ところが今や70歳まで働かなければならない状況に...。
それに法人化は立ち上げや役員など、その後の管理が大変です。

耕作放棄地問題や食料自給率や農業人口減少などの問題が、最近は食料安全保障というワードで語られるようになりました。
稲作は農地維持しやすいのですが、それは化学肥料を使った場合です。
資材価格高騰で堆肥の利用が呼びかけられていますが、今の農地全部でそれをやったら供給は大丈夫なのでしょうか。
部分的に置き換えるといっても大変な量のような気がしますし、散布するのに機械が必須です。
増産するにしても、土地が空いているからといって、どこにでも堆肥工場を作るわけにはいかないでしょう。
各家庭で家畜を飼っていた頃と違って、今はにおいに耐性の無い人がほとんどです。

兼業農家にとって今の制度は、規模や投資が必須だったりして、あまり使い勝手がいいとは言えません。
農政自体は専業農家が対象なのは理解しますが、兼業農家向けの別制度があってもいい気がします。

米の今年の作柄と温度ロガー

今年の等級は3等となってしまいました。

乳白だけならまだしも胴割れも発生してしまい、残念な結果に。

葉色が極端に落ちたので対策はしたのですが、足りなかったようです。

もっと思い切って追肥すれば、胴割れは防げたかもしれません。

東北地方の1等米率が極端に落ち込んだというニュースもありました。

高温に強いとされていた品種も影響を受けているようですので、コシヒカリは言うに及ばずです。

 

実際の圃場の温度がどうなのか知りたくて、今年は温度ロガーを導入しました。

サンワの防水型で、測定モードを1時間に1回にしましたが、3ヶ月電池交換なしで動作しました。(回収した時は残量ほぼゼロでしたが)

本来なら百葉箱のようなものに入れて測定しないといけないのですが、とんでもなく高価なので、大きめの植木鉢で影を作って測定器を配置しました。

モリーはあまり多くないようなので、たまにデータをダウンロードして空き容量を増やしておきました。

結果は出穂期以降は、連日平均で25℃以上でした。

最高温度が40℃以上の時があったので、照り返しか何かがあったのでしょう。

気象庁のデータを参考にして補正をかければいいかもしれません。

 

稲作は田植えから収穫まで4ヶ月くらいかかるので、全部測定していたら電池交換が必要です。

田植え直後のデータはあまり意味がないので、中干した後から設置すればいいでしょう。

 

圃場にイノシシが侵入しました

刈り取り前に、イノシシに侵入されてしまいました。

イノシシに踏み荒らされた箇所は、稲が根本から折れて、穂は圃場にめりこんでしまいます。

そうなるとコンバインで刈り取ることはできず、収量が減ることになります。

全体的に踏み荒らされており、収量は例年の2/3程度でした。

 

私の地区では、山と農道の間に金属メッシュが張り巡らしてありますが、私有地へ通じる道は取り外し可能なネットになっています。

近年は離農が進んで、直接の受益者ではないからなのか、「ネットは効果が無いし面倒くさい」といって協力的でない家庭もあります。

しかし、実際に効果的かどうかはさておき、ネットを毎日欠かさず張っているところの周辺は被害はありません。

ネットの手前まではイノシシが出没した痕跡はあるので、ネットが外れたままになっていると、そこからイノシシが侵入してくることは間違いないようです。

 

本当は毎日ネットをかけてもらいたいのですが、受益者でない家庭にお願いすることはできません。

私の圃場の周辺をネットで囲う事もできましたが、周辺の圃場に被害が広がって、恨まれても困るので放置しておきました。

 

刈り取り時期になりました

そろそろ稲刈りの時期です。

刈り取りが早すぎると、未熟米が大量に発生して品質等級が落ちてしまいます。

逆に刈り取りが遅すぎると、うちの圃場の場合は米粒にヒビが入る「胴割れ」が発生して、これもまた等級が落ちてしまいます。

以前は「着色粒」が等級が落ちる主な原因でしたが、着色粒を選別する装置が普及してからはあまり見られません。

 

この選別装置が導入されてから、うちの圃場は農薬散布をしなくなりました。

出荷量は落ちますが、真夏の農薬散布作業は命にかかわるので...。

ドローンでの散布があるのでは?と思われるかもしれませんが、面積がまとまらないと受注してもらえません。

着色粒は登熟期にカメムシが稲穂をかじる事で発生します。

圃場にいるカメムシは、家の中で見るものと種類が異なり、ほっそりしています。

 

刈り取りが遅れる主な原因は、「天気が悪かったから」です。

適切な刈り取り時期の判断基準はすでに確立されています。

その通りにできれば問題ないのですが、雨が続くと圃場がぬかるんで、コンバインがスタックしてしまうため刈り取り作業ができません。

台風が連続して通過すると、収穫をあきらめる事態もありえます。

 

AIや人工衛星画像で判定してくれるサービスがありますが、稲刈りに関してはあまり意味がないかもしれません。

農家が欲しいのは正確な3ヶ月間の天気予報でではないでしょうか。